本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

ドナ・ウィリアムズ*自閉症だったわたしへ

ひさしぶりの読書日記です〜。ドナ・ウィリアムズ『自閉症だったわたしへ2』新潮文庫、読了。著者の1作目である『自閉症だったわたしへ』は世界的なベストセラー。 「すごい!」という評判は以前から知ってたものの、タイトルにちょっと腰が引けるものがありまして、ずっと読まずにいたんですわ。数年前だったかなぁ、 NHKで彼女のドキュメンタリー番組を放映していて、 ていねいに自己の内面世界を語る、消えてしまいそうな雰囲気のドナさんの姿が印象に残りました。繊細なアーティストって風情だったです。

自閉症だったわたしへ』を遅ればせながら読んで、 たまげましたですよ。 「自分」というものを手にするために大変な努力を重ねながら、彼女は疾風怒濤の毎日を送らざるをえなかったみたい。 はあ〜。 ご本人の生き方はもちろんですが、それをフランクに語れる力強い筆力にも感服しました。 ほんで2作目の『自閉症だったわたしへ2』を読んだという次第なんです。


  • 自閉症」は、わたしが覚えている限りの昔から、わたしを檻に閉じ込めていた。わたしが考えることができるようになる前に、すでにわたしをつかんでいた。だからわたしの考えは、機械的、反射的に、多くの人の考えを繰り返すだけだった。p15

冷静な自己分析ですねぇ。これを読んで、知的な人だな〜って思うのはたやすいと思う。 しっかしですね、ばーんと約500ページあとに、すごいことが出てくるんだな〜。


  • 自分の体との一体感こそ、感情や感覚を自分のものにするために必要な、架け橋だったのである。p515

なんと彼女は、自分の体を「まるごと全部を感じ取れることはなかった」らしい。それが分かるようになって、人生の保障を得た気分になったと書いてます。自己を鋭くつかめる知性と、極めて不安定な肉体の感覚のギャップ。めまいがしそうだ。 こういうことが読めるのも、読書のタノシミでありましょー。おお〜、今日はいっぱい書いたな(笑)。