本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

2004-01-01から1年間の記事一覧

ナイキを履いたお爺さま*召使と私

ひえーん、年末進行で忙しいっす。 いうまでもなく原稿ダンゴに押しつぶされそうだす(大げさ…笑)。 逃避の一環としてうすーい本を選んで読書。 エルヴェ・ギベール「召使と私」集英社、読了。著者のことを全然知らなかったんですが、若くして亡くなったフ…

セコイア*森の世界爺

多田智満子『森の世界爺』人文書院、読了。 ずっと探していた本なんですが、なかなか手に入りませんでした。 ふっと思いついてアマゾンを検索してみたら、 ラッキーなことにあったんですね〜。あれま〜、びっくり。世界爺はセコイアと読む当て字。 世界のあ…

東京タワーと剣道*丘の上

安西水丸「丘の上」文芸春秋、読了。 主人公の「ぼく」は剣道をやっていて、自宅そばの丘の上でしょっちゅう素振りをします。 で、その背景というか、丘から見える風景が、 完成したばかりの東京タワーなんですねぇ。すごいビジュアルだな〜。銭湯の絵のよう…

さらさら感続く*アマリリス

安西水丸「アマリリス」新潮文庫、読了。 ニューヨークを舞台にした連作短編7篇が収録されている。 エロティックな話が少なくないのに、さらさら感は相変わらず。で、これを読んだ後に、安西水丸を発見したような気持ちになったのは、 角川文庫のアンソロジ…

さらさらしたムード*メランコリー・ララバイ

安西水丸「メランコリー・ララバイ」NHK出版、読了。 たくさんの人が亡くなる話といってしまうと元も子もないんだけど、 淡々とした筆致がかえって哀しみを際立たせているといったらいいのかなぁ。 さらっとしているのに、妙に忘れられない感じ。 読むたびに…

芋づる桜井亜美*神曲

桜井亜美「神曲」幻冬舎文庫、読了。 本屋さんに新刊が出ていると、ついつい買ってしまうんですね〜。「好きな作家なんですか」と聞かれて、 ストレートに「はいっ」と答えられるわけではないんですが、 「イノセントワールド」以来、ずっと気になってます。…

パセティックな恋愛小説*水草の部屋

昨日の勢いのまま、再び刈米義雄。 本棚の中の「水草の部屋」河出書房新社を引っ張り出して再読。 やっぱり上手だな〜。 お花が本業なのに、こんなに筆が立つなんて、 うらやましいというか不公平というか(笑)。 水草の部屋

愉快なドライブ感*原宿エクスプレス

刈米義雄「原宿エクスプレス」河出書房新社、読了。 著者の刈米氏は古流を離れ、 「花塾」を主宰しながら流派にとらわれない花を追求する方。インテリア雑誌を編集していたころ、少し存じ上げていたこともあって、 エッセイやインタビュー等をお見かけするた…

タガメの謎*取り替え子

大江健三郎「取り替え子(チェンジリング)」講談社文庫、読了。 最初のページに「田亀を書棚に戻して」というフレーズが出てきて、 「え、なんでカメを本棚に入れるの」と疑問だらけに(笑)。読み進むうちに、田亀はタガメのことで、 ゲンゴロウやミズスマ…

冬の部屋*余白の愛

小川洋子「余白の愛」中公文庫、読了。 外はキンキンに寒いのに、部屋の中は十分に暖かくて、 ガラス窓が白く曇っている…。 それを外から眺めているみたいな感じの、 温かさと冷たさが共存した静かな作品。当たり。