本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

電信柱とオリーブ*阿列布


最近竣工した建物の傍らに、ブロックで囲ったフラワーボックスというか植栽スペースが出現。
近づいたら、オリーブが植えられてました。実もついてるよん。
電信柱ごとフラワーボックスの中に収めるという、
「公共物じゃないでしょうか、それ。いいんでしょうか」という作りですが、
ここまで正面切ってやられると、妙に納得させられる気が。にやにや。

長らくオリーブの漢字表記は「橄欖」だと思ってたんですが、
さきほどwikiオリーブの項を読んでみたところ、
橄欖(かんらん)はオリーブとは全く別の植物で、
鉱石の名前(オリビン olivine / 橄欖石 かんらんせき)を翻訳する際に混同が起こったとか、
カンランの実の塩漬けを chinese olive と呼んだことから
誤読が普及したとか、諸説あるようです。知らなかったなあ。

森茉莉は小説やエッセイで、しばしば橄欖の字を使ってますわね。
色を表す時は、必ずこの字じゃないかな。


  • その朧(おぼ)ろな橄欖色(オリイヴいろ)や鈍い黄色の濃淡、水灰色、柔らかな煉瓦色なぞの色調は、古いゴブラン織に寸分違(たが)わない。『贅沢貧乏』新潮社p10

正確さを求めるなら、「橄欖」色は「阿列布」色になるんだろうか。
字面の印象がずいぶん変わるわね。
阿と列の文字のせいか、内田百けんの「阿房列車」が連想されるんですけど。うーむ。