本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

石だらけの庭*Derek Jarman's Garden


アロエやらリュウゼツランやらの記事をアップしながら、
ふと思いついたのが、映画界の鬼才デレク・ジャーマンが晩年を過ごした庭。
つんつん尖った痛そうな葉っぱの植物ばかりが植えられているのを
雑誌で見た覚えがあるんですわ。

80年代後半の「House & Garden」誌だったかな。
2年かそこらのごく短い期間ですが、この時期の「House & Garden」は、
ちょっと例を見ないほどビジュアルに凝った編集をしていて、
分野は違うものの全盛期の「BRUTUS」な雰囲気がありました。

たぶん有名な編集者が参加していたんでありましょうね。
当時は名前をチェックしようなんて思わなかったけど、
今考えると抜かってしまった気がする。


94年にデレク・ジャーマンが亡くなり、
翌95年に刊行されたのが画像の
Derek Jarman's Garden」。
ずいぶん前に買ったんですが、
実はほとんどページを開いてなかった。
もちろん読んでないです(笑)。

で、ちょっとページをぱらぱらしてみたところ、
「えええ、思った以上に尖った葉っぱがない〜」。なんで。どうして。ナゾだ。

思わず動転しましたが、落ち着かなきゃ(笑)。
ゆっくり記憶を遡ってみると、
アロエ系の植物をたんまり植え込んでいたのは、
デレク・ジャーマンではなくデヴィッド・リンチだったかもしれない。
記憶違いの可能性が強く浮上しましたわ。


ただ、少し検索したくらいでは
デヴィッド・リンチの庭に
多肉植物が植えられているかどうかは
分かんなかったです。
今後、気をつけておきたいと思います。
ひょんな具合で
分かることもあるですからね。


Derek Jarman's Garden」に戻ると、
このお庭は、「庭」と「荒れ地」の瀬戸際にあるような作り。
庭として成立するぎりぎりのレベルまでにしか、手を加えていないといいますか。



植物のアップの写真がわりに多いので
本を眺めた限りではガーデン本に
仕上がっているんだけど、
現地(イギリスのダンジュネス
というところらしい)に実際に行って、
ある程度の距離をとって「庭」を見渡すと、
小石だらけの不思議な場所
っていう印象を受けるんじゃないか。

さびさびの鉄や、色と大きさを揃えた大量の石、
ざらしになってかさかさになった木の枝や棒。
ドライでシャビーな質感が好きな人は、
ハワード・スーリーさん(右上の画像)の
ディテールをていねいに追った写真が気になると思うな〜。
円高のおかげなのか1291円とお買い得なので、
ひとつお持ちになってもよかろうかと。美しい本です。



*追記*
翻訳をなさっているnofrillsさんから、twitterでダンジュネスについて教えていただきました。原発の町だったとは。うううむ。

  • nofrills: 田舎と言うか、「何もない」んです。駅から海岸までは何軒かの建物があるのですが、基本的に一面の小石(砂利)と、プロスペクト・コテージと、灯台原発デレク・ジャーマンは病気がわかってからあの小屋で暮らし始め、不思議な庭を作って…いやあ、不思議です。 Mar 23


  この本をいっしょに買っている人が多いようです。気になる。