本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

ゾケサは飛んでゆく


「物欲道」のあっきさんが、<Macで「こんかつ」と入力すると「結活」って変換する>と先だってツイートされてました。私もマックなんでやってみたら、ほんとに「結活」って出てくる。なんて読むんですかね、この字。ことえりのエンジニアさんが「婚」の字を出すために「結婚」と入力し、どうしたことか「婚」をデリートしてしまって、誰もそのことに気づかないまま「ことえり」が世に出たということでしょうか。意味不明です(笑)。

これと前後しますが、友人ゆもゆもさんが「引火温度」の誤変換に、「インカ音頭」っていうのがあると教えてくれました。かつて「誤変換の宴」という有名サイトがあったそうで、ゆもゆもさんはそこでアンデスに伝わる舞いの一種(うそ・笑)を発見。今もしっかり覚えていらっしゃるところから推察するに、読んだ瞬間、かなりの確率で吹き出したんじゃないかと思われます。いただいたコメントはこちらです。

で、これを読んで、私の頭にはなぜか踊るジャガイモの像が出現。インカとくれば「インカのめざめ」=ジャガイモ。音頭はたぶん、盆踊りシーズンなので集団で踊る情景につながったのではないかと。

「誤変換の宴」のアーカイブは、文字コードの都合で正常に表示されないようなんですが、ちょっと検索したら「ことえり的思考」というサイトがありました。ステテコが「捨てて子」だって。ほんとかい。やってみたらちゃんと「ステテコ」と出るので、昔の話かな。「誤変換晒しあげ」というのもあって、文節の区切りがおかしいのが多く収集されてました。「他の市区なんか有馬戦」は、楽しくなんかありません。ぶはは。ちなみにマックはこれ、大丈夫です。


くだらないというか、意味がないというか、ナンセンスなことにげらげら笑ったりすると暑さを忘れますわね。笑いのツボって、思っている以上に私的なものだったりしませんでしょうか。のろまなキャラのためなのか、私は大抵のお笑い芸人のスピードについていけないんす。好みが似てる友人がいるとほんと助かり(?)ますよ。

数日後、ゆもゆもさんから新ネタを提供するメール着。「ゾケサ」という哀れな鳥が空を飛ぶに至った経緯が紹介されている、蓮實重彦の素敵なエッセイです。


  • このミシブチンの少年(幼少時の蓮見重彦のこと)の頭脳は、ゾケサなるもののイメージをもありありと思い描くことができる。「明けてぞけさは/別れ行く」という『蛍の光』の最後の一行に含まれる強意の助詞「ぞ」の用法を理解しえなかった少年は、なぜか佐渡のような島の顔をした「ゾケサ」という植物めいた動物が、何頭も何頭も、朝日に向かってぞろぞろと二手に別れて遠ざかってゆく光景を、卒業式の妙に湿った雰囲気の中で想像せずにはいられないのだ。ゾケサたちは、たぶん彼ら自身も知らない深い理由に衝き動かされて、黙々と親しい仲間を捨てて別の世界へと旅立ってゆくのだろう。生きてゆくということは、ことによると、こうした理不尽な別れを寡黙に耐えることなのだろうか、可哀そうなゾケサたちよ。蓮實重彦「反=日本語論」ちくま文庫筑摩書房)p264

蛍の光」を今度聞いたら、頭の中で鳥たちが飛び交いそうで恐ろしい(笑)。ゾケサの顔が「佐渡」のようなのは、おそらく「佐渡おけさ」という民謡のタイトルの一部(おけさ)の母音がゾケサと重なるためと思われます。歌の歌詞はシュールなイメージに直結しやすいかもしれんですね。

良く知られているところでは、アニメ「巨人の星」の歌「行け行け飛雄馬」に出てくる<おもいこんだら>。スタッカートを利かせつつ男声コーラスが力強く歌う「おっもーいーいっこんだあらあ」という箇所の画面には、タイヤを引きずりながら筋力トレーニングを行う飛雄馬の様子が。これを観た全国の少年少女の脳みそに、タイヤを利用した負荷トレーニングの道具=こんだら、という情報が与えられたというんです。話には聞いていたものの、あるお酒の席で、目の前にいる人が何人も「あ〜、こんだらね。タイヤを使った用具は、こんだらでしょ」と口を揃えるのにはたまげました。「思い込んだら」が「重いこんだら」に脳内変換。ありゃ〜。

*芋蔓情報*


El Condor Pasa (If I Could) - Simon and Garfunkel's Greatest Hits

  • BGMはコンドルは飛んで行くですかね。とりあえず一番有名そうなサイモン&ガーファンクルを押さえてみましたが、インカのめざめ(ジャガイモ)に敬意を表してケーナがメロディーを奏でるインストがいいかな。誰のがいいだろ。うーむ。

行け行け飛雄馬(OP/TVサイズ) - 巨人の星オリジナルサウンドトラック

  • 弟といっしょに歌った記憶が(笑)。