本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

バスで秋田に帰ってみた

いつも実家へは飛行機で帰るんですが、今回、初めて高速バスっていうのを使ってみました〜。夜22時半に東京・新宿を出ると、翌朝8時ころ秋田駅に到着。たまたま見たBSのCOOL JAPANで「最近の高速バスは車両が進化していて、バスとは思えない乗り心地」というのをやってたんです。調べたら番組で紹介されてたWILLER EXPRESSは秋田便も運行してたので、「一度くらいは乗ってみるべ」と思い、試してみることに。直線距離でも400キロくらいありますからね、けっこう長時間乗ってなきゃいけない。辛かったら帰りは飛行機に変更するつもりでした。

受験やらなんやらで秋田-東京を行ったり来たりしてたん十年前は、夜行の特急寝台というのがあって、車内はお酒と煙草の匂いが充満してたような記憶がおぼろにあります。なんとなくそれを思い出して「東京で仕事をした後のおっさんたちが多かったら嫌だな〜」なんて、自分がおばさんではなく、おっさんっぽいことは棚に上げて心配してたんですが、車内は若い女の子が8割以上を占める予想外の展開。

横に3列しか並んでいないゆったりシート(名称はリラックスワイド)を確保したので、備品のブランケットを掛ければ、成田を夜に飛び立つ国際線に乗ってるような気分になってくるです。所要時間的にはバリ島に着くと思う。どれだけ遠いよ(笑)。もちろんバスは、連なる東北の山沿いをひたすら北上するんですけど。



飛行機と違うのは途中のSA(サービスエリア)で、トイレタイムを兼ねた休憩があること。秋田便は栃木の佐野、福島の国見、岩手の錦秋湖の3カ所。私は長時間座るのは慣れているんですが(ライター業も編み物も座り仕事ですわ)、座りっぱなしだと元々太い脚がいっそうむくんで目も当てられない状態になるので、無駄に下車してうろうろしてました。夜行性なので、夜は元気なんです(笑)。3番目のSAである錦秋湖では夜が明け、一番上と下のような写真が撮れました。明るい緑で点描したような広葉樹の芽吹き。きれいですわね。紅葉シーズンもさぞや、と思われます。


ここで、閉まっている売店の前に突っ立っている「???」という雰囲気の男子を発見。20代と思しきオノコがひとり、手作り感たっぷりの旗を手に持ち、なぜかひとりぽつんと立っている。団体の観光客でごった返す季節でも、時間帯でもありません。朝の5時半ですよ、何事ですか。寝ぼけてましたが、なんか妙なスイッチが入った私(笑)。さりげなーく彼に近づいて、旗に「JAうご」と「オメガビジョン」という文字が書かれていることを確認。旗の真ん中には、世でいうところの美少女キャラが。


旗の実物はJAうごの公式blog「なえんもねんしども」の記事をどうぞ
彼の数メートル後方には4名ほど立ち話をしている若者(♂)がいて、「帰った次の日は仕事なんで、どうやって800キロを帰ろうかと…」なんて興奮気味に話している。顔の造作と言葉から、秋田県人ではないことは明白です。それにしても朝っぱらから、なんでまた高揚しているんでしょ。がらがらの駐車場に停まっているバスは、私が乗ってきたWILLERのバスと熊谷ナンバーの観光バスだけ。彼らは観光バスの乗客と思われました。

実家にはPCがないので、詳細は自宅に戻ってから調べることにして、バスに戻った私はいつも持ってるノートに旗をメモ。「美少女キャラを印刷したお米や焼酎のパッケージでヲタ界の話題をさらった秋田県雄勝郡(おがちぐん)羽後町。彼らはキャラクターの背景になっている現実の土地を訪問しようとしている、聖地巡礼とか呼ばれる旅行者ではないか」とあたりをつけた次第です。一瞬、声をかけて話を聞こうかと思ったんですけど、バスに乗り遅れては元も子もないので断念(笑)。

で、帰ってきたワタクシ、興味本位で検索ですよ。まずオメガビジョンは、Navelというブランドで美少女ゲーム等を開発している東京の企業。トップページのENTERを押したら、いきなり「イベントのため業務をお休みします」という案内が出てきた〜。イベント名は西又葵と行くイラストの町 羽後町まるごと満喫イベント(リンクはJAうご内のイベント概要ページに貼ってあります)。

西又葵さんはNavelに所属するゲームの原画家イラストレーター。秋田の羽後町の美少女グッズは、彼女なくしては誕生しなかったという経緯があり、あちこちのテキストを読んで分かったのは、イラストレーターご本人と羽後町を楽しむという、ヲタ男子の心をがっちり掴んだ企画で、このイベントが大人気になったこと。40名の参加者は抽選で選ばれた、ラッキーな人々だった模様です。付け加えれば、特製のはっぴが配られたり、羽後町からお米や羽後牛カレー、焼酎といったお土産が出たりなど、特典もいっぱい。コアなファンは遠方から出発地である東京・秋葉原に駆けつけたらしいんですね。早朝のSAで立ち話をしていた彼らの尋常ならざるわくわくした雰囲気は、こんなところから出ていたんだ。納得。


秋田の内陸部は、美人の産地として有名です。聖地巡礼の彼らには、ぜひリアルな美女(高校を卒業すると秋田の若者の多くは県外に出てしまうので、正確を期すならば年若いプレ美女かも)も見ていただきたいんですけど、余計なお世話か。モデルでハグオーワーのデザイナーである雅姫さんは、羽後町の北に位置する横手市の出身。ヘアメイクの藤原美智子さんもこのへんのご出身だったと思うです。

実家は海沿いなので、同級生にきれいな女子がたくさんいましたが、厳密にいうと美人の産地ではなかったりします。目がどうの、肌がどうの…といった、ほとんど純血種の動物に関するスタンダードの如き、ある種の基準があった気がしますわね。美人は秋田犬か、と思わなくもなかったですが、昔は容姿に関して妙にうるさいとこがありました。今は分かんないけどね。

*芋蔓SHOPなど*