本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

新緑用BGM




新緑にひっかけた音楽なら、カヒミ・カリィの<若草のころ>でしょうな。架空の映画音楽という設定で制作された、1995年に発売されたマキシシングル「彼らの存在」の#2として収録されてます。

リリカルなアコースティック・ギターの短めのイントロから、すぐに軽くて癖のある彼女の「ラララ〜」というスキャットへ。恋する女の子のハイなモノローグ、って感じの歌詞が続くです。最初は分からないんだけど、少し注意すると男性ヴォーカルがこそっと合流してるのが聴こえてくる。



これがムッシュかまやつ、という鋭いんだか、濃すぎるんだかよく分からない人選。しかし、芯をわざとぼかしたようなミキシングの妙技なのか、ふたりの声の混じり具合はさらっとしてて違和感がありませぬ。

詩はカヒミご本人、作曲とアレンジは小山田圭吾、エンジニアは高山徹。それからぶ〜んと唸るようなベースがどっかで聴いたことのある感じ。ルー・リードの「ワイルド・サイドを歩け」が連想されるなあ。おもしろい効果が出てます。

#3の<偽りの恋>は、伊武雅刀とのデュエット。こちらも音的には#2と似てますが、手練のアレンジャー久米大作によるストリングスのアレンジが、過不足なく華麗で聴きもの。詩と曲、アレンジは小西康陽で、ストリングス関係を久米さんが分担したようです。演奏は金原ストリングス。


彼らの存在」が発売された年を調べるために、wikiカヒミ・カリィの項を読んで、初めて彼女が1968年沖縄生まれであることや、名前の由来などを知ったですよ。特別興味をもったことがなかったんだな〜。ムッシュに至っては失礼ながら私、敬遠気味ですし、伊武雅刀が気になったこともない。しかし、この曲は好きです。こういうのが音楽における出会いものなんじゃあ、と思います。

あと、似たタイトルの有名な曲に、ビージーズの<若葉のころ(原題First of May)>(69年)がありますね。映画「小さな恋のメロディ」(日本公開71年)の挿入歌です。カヒミさんが初めて買ったレコードが、このサントラだそうです。なのでこの2枚はなにげに繋がっている。

*芋蔓音*